仮面うつ病とは?
「仮面うつ病」または「潜在うつ病」は、うつ病の一形態であり、その名前が示す通り、うつ病の典型的な症状が顕著に表れないことが特徴です。
症状はうつ病と同じですが、感情的な苦しみや絶望感などの心の症状よりも、身体的な不調や行動の変化が目立つことが多いです。
仮面うつ病の主な症状には以下のようなものがあります
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身体的な不調: 頭痛、胃痛、背痛、心臓の動悸、呼吸困難、食欲不振、不眠など。
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行動の変化: 過食または食欲不振、過度のアルコールや薬物の使用、ソーシャルメディアやインターネットの過度な使用など。
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性格の変化: 短気、無関心、感情的な冷淡、過度の自己批判、集中力の低下など。
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社会的な引きこもり: 人との接触を避ける、趣味や以前楽しんでいた活動に対する興味喪失など。
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職場での問題: 労働能力の低下、遅刻や欠勤の増加、仕事に対する興味やモチベーションの喪失など。
仮面うつ病は、その症状が体調不良やストレス反応と誤解されやすいため、診断が難しいことが特徴的です。
そのため、心理的な問題を引き起こしている可能性がある身体的な症状や行動の変化がある場合は、医師に相談することが重要です。
また、仮面うつ病はうつ病と同様に、専門的な治療を必要とします。これには薬物療法(抗うつ薬)、心理療法(認知行動療法など)、ライフスタイルの変更(適度な運動、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレス管理)などが含まれます。
より詳しく・・・
仮面うつ病は、精神症状の代わりに身体症状が前面に出るタイプのうつ病です。
この病態は「身体症状という仮面を付けたうつ病」とも表現されます。
仮面うつ病の特徴的な点は、気分の落ち込みよりも身体的な症状が強く現れ、その結果、本源のうつ病が隠れてしまうことです。
そのため、患者自身がうつ病であると自覚しづらく、通常は内科を受診します。
しかし、各種検査でも異常は認められないため、医師もこの状態を見抜きにくいことがあります。
また、身体的症状に応じて鎮痛剤や胃腸薬などが処方されることがあります。
通常のうつ病に比べて身体症状が強く出るため、自律神経失調症や心気症と診断されることも珍しくなく、誤診が多い疾患です。
医師が仮面うつ病であることを説明し精神科や心療内科の受診を勧めても、本人に自覚がないことから頑なに身体的な症状を訴え、受診しないことがあるとされています。
仮面うつ病の原因については完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の減少が関与していると考えられています。
治療法については、本質的にはうつ病であるため、うつ病と同様の治療を行います。抗うつ薬などの投薬治療が第一選択となります。