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病気不安症候群(健康不安障害)とは??

[2024.07.30]

病気不安症候群(健康不安障害)について詳しく解説

 

 

病気不安症候群(健康不安障害)は、身体の症状や健康状態に対する過剰で根拠の薄い不安や心配が特徴の精神的健康障害です。

この状態では、実際には健康であるにもかかわらず、自分が重篤な病気にかかっている、またはかかる可能性が非常に高いと感じることがあります。

 

本症状は以前「心気症」として知られていましたが、現在の診断基準(DSM-5:精神疾患の診断と統計マニュアル第5版)では「健康不安障害(Illness Anxiety Disorder)」として明確に定義されています。

本記事では、病気不安症候群の特徴、原因、診断基準、治療法、日常生活での工夫について詳しく解説します。

 

 


1. 病気不安症候群の主な特徴

以下は、この症候群に共通する代表的な特徴です:

(1) 過度な健康不安

  • 軽微な身体の違和感や日常的な症状を深刻な病気の兆候として受け取ります。

  • 例えば、軽い頭痛を「脳腫瘍かもしれない」と考えたり、喉の軽い違和感を「がんではないか」と極端に心配することがあります。

  • こうした不安は一時的なものではなく、長期間にわたって持続することが多いです。

(2) 医学的検査結果への不満足

  • 病院で検査を受け、医師から「異常なし」と診断されても安心できず、さらに別の検査や医師の意見を求め続けることがあります。

  • 「ドクターショッピング」と呼ばれる、複数の医療機関を転々とする行動を取ることも珍しくありません。

(3) 健康に対する過剰な行動または回避行動

  • 自身の身体を頻繁にチェックしたり、体温や脈拍を何度も確認するなど、健康に関する行動が過剰になります。

  • 一方で、医療機関に行くことを恐れたり、病気の可能性について知るのを避ける「回避行動」をとるケースもあります。

(4) 日常生活への悪影響

  • 健康に対する過度の心配が仕事や家庭生活、人間関係に深刻な影響を及ぼします。

  • 例えば、家族や友人に頻繁に健康状態を訴えたり、過剰な安心を求めるために迷惑をかけることがあります。


2. 病気不安症候群の原因

病気不安症候群の明確な原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています:

(1) 心理的要因

  • 幼少期の体験:幼少期に親や家族が深刻な病気を抱えていたり、亡くなった経験があると、健康や病気に対する過度な不安が形成されることがあります。

  • 不安傾向:もともと不安が強い性格や強迫性障害の傾向がある人は、病気不安症候群になりやすいと言われています。

(2) 認知的要因

  • 誤った認知:身体の感覚や症状を過剰に解釈し、それが重大な病気の兆候だと思い込む傾向があります。

  • ネガティブバイアス:病気に関する情報を過度に重視し、自分に当てはめてしまう習慣が見られます。

(3) 環境的要因

  • 情報過多:インターネットやSNSなどで病気に関する情報が氾濫している現代では、症状を検索してさらに不安を感じる「サイバー心気症」も問題になっています。

  • 周囲の影響:家族や友人が健康に過度に注意を払っている場合、その影響で自分自身も病気に対する不安が高まることがあります。


3. 診断基準

DSM-5では、病気不安症候群の診断基準として以下の要件が定められています:

  1. 病気にかかっている、またはかかる可能性が高いと強く信じ、過度に心配している。

  2. 健康に関連する過剰な行動(例:頻繁な健康チェック)または回避行動(例:医療機関への訪問回避)が見られる。

  3. 症状が少なくとも6か月以上持続している。

  4. この不安や行動が、他の精神疾患(例:パニック障害、全般性不安障害)や身体疾患では説明できない。


4. 治療法

病気不安症候群は治療可能な精神疾患であり、心理療法や薬物療法、日常生活の調整を通じて症状を軽減することができます。

(1) 心理療法

  • 認知行動療法(CBT)

    • 健康不安を引き起こす考え方の歪みを修正し、不安を軽減します。

    • 例:「軽い頭痛=脳腫瘍」などの極端な思考を再評価し、現実的な解釈を学ぶ。

  • マインドフルネス療法

    • 現在の感覚や思考に注意を向け、不安を軽減する練習を行います。

(2) 薬物療法

  • 抗不安薬や抗うつ薬

    • 特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が効果的とされています。

    • 注意:医師の指示に基づいて使用する必要があります。


5. 日常生活での工夫

日常生活で以下の工夫を行うことで、症状の緩和や再発防止につながる可能性があります:

(1) 情報の制限

  • 健康や病気に関するインターネット検索を制限します。

  • 信頼できる情報源のみを利用し、不確かな情報に惑わされないようにします。

(2) 健康的な生活習慣

  • 規則正しい食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることで、身体と心のバランスを整えます。

  • ストレスを軽減するリラクゼーション法(例:ヨガや瞑想)を取り入れるのも有効です。

(3) サポートネットワークの活用

  • 家族や友人、同じ悩みを持つグループと話し合い、不安を共有することで気持ちが軽くなります。

  • 精神科医や心理カウンセラーと定期的に相談し、適切なサポートを受けることが重要です。


まとめ

病気不安症候群(健康不安障害)は、健康に関する過剰な心配や不安が日常生活に深刻な影響を与える精神疾患です。

原因は心理的、認知的、環境的な要因が絡み合っていますが、適切な心理療法や薬物療法、生活習慣の調整により症状の改善が可能です。

不安が生活に支障を来している場合は、早めに専門家に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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