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むずむず脚症候群(RLS)とは??

[2023.09.15]

 

むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome; RLS)について

むずむず脚症候群(RLS)は、主に脚に不快な感覚が現れ、それを和らげるために脚を動かしたいという強い欲求が生じる慢性的な神経疾患です。この症状は特に夕方や夜間、または静止しているときに現れやすく、生活の質や睡眠の質に重大な影響を与えることがあります。本稿では、むずむず脚症候群の症状、原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。


主な症状と特徴

むずむず脚症候群は、以下のような特徴的な症状を持っています。

1. 不快感の発生

症状は主に脚に集中しますが、時には腕や他の部位にも広がることがあります。不快感の具体的な表現は個人差がありますが、多くの患者は以下のように感じます:

  • むずむずする感覚

  • ピリピリするような刺激

  • ズキズキする痛み

  • 虫が這うような感覚

2. 症状の時間的特性

症状は静止時に現れる傾向が強く、特に夕方から夜間に悪化します。このため、日中は比較的症状が軽いことが多いですが、仕事中や長時間の会議など、長時間座ったり静止した状態が続く場合には症状が悪化することがあります。

3. 動きによる一時的な改善

不快感は脚を動かすことで一時的に軽減されることが多いです。例えば、立ち上がって歩いたり、脚をさすったりすることで症状が和らぐことがあります。しかし、動きを止めると再び症状が現れることが多いです。

4. 睡眠への影響

むずむず脚症候群は、夜間に症状が強くなるため、入眠困難や中途覚醒を引き起こし、慢性的な睡眠不足に陥る可能性があります。これにより、日中の集中力や活力が低下し、生活全般に悪影響を及ぼします。

5. 周期性四肢運動障害(PLMD)との関連

むずむず脚症候群の患者の多くは、睡眠中に周期的な脚のけいれんや動き(周期性四肢運動障害)を伴うことがあります。この動きは無意識的に起こり、睡眠の質をさらに低下させます。


原因と要因

むずむず脚症候群の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。

1. 遺伝的要因

むずむず脚症候群は遺伝的な要素が強く、患者の約50%に家族歴があると報告されています。特に若年発症の場合、遺伝の影響が大きいとされています。

2. 神経伝達物質の異常

脳内のドーパミン系の異常が主要な原因の一つとされています。ドーパミンは運動制御に関与する神経伝達物質であり、その機能が低下するとむずむず脚症候群の症状が出現しやすくなります。このため、パーキンソン病などのドーパミン関連疾患と共通点があるとされています。

3. 鉄欠乏

鉄は脳内でのドーパミンの合成と機能に不可欠な役割を果たします。鉄欠乏や鉄の代謝異常がむずむず脚症候群の原因の一つとされており、血清フェリチン値が低い場合、症状が悪化する可能性があります。

4. 特定の疾患や状態

以下のような病状がむずむず脚症候群を引き起こすことがあります:

  • 慢性腎疾患

  • 糖尿病

  • パーキンソン病

  • 末期妊娠(妊娠後期の女性の約20%が一時的に発症するとされています)

  • 神経障害(末梢神経障害など)

5. 薬物の影響

一部の薬剤(抗うつ薬、抗精神病薬、抗ヒスタミン薬など)は、むずむず脚症候群の症状を悪化させることがあります。

6. 生活習慣の影響

アルコールやカフェイン、タバコの摂取は症状を悪化させる可能性があります。また、慢性的なストレスや不規則な睡眠も悪影響を及ぼします。


診断基準

むずむず脚症候群の診断は、症状と病歴に基づいて行われます。以下の国際的な診断基準(International Restless Legs Syndrome Study Group)を用いることが一般的です。

  1. 脚を動かしたいという抑えがたい欲求があり、不快感を伴うことが多い。

  2. 静止時や休息時に症状が現れる、または悪化する。

  3. 動くことで症状が一時的に改善する。

  4. 夕方や夜間に症状が悪化する。

  5. 他の疾患や状態では説明がつかない。

必要に応じて、血液検査(鉄欠乏の確認)や睡眠ポリグラフ検査(周期性四肢運動の有無を確認)を行います。


治療法

むずむず脚症候群の治療には、生活習慣の改善から薬物療法まで、さまざまな方法があります。

1. 生活習慣の改善

  • 睡眠習慣の見直し:毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠スケジュールを維持する。

  • 刺激物の制限:カフェイン、アルコール、タバコの摂取を控える。

  • 軽い運動:ストレッチやヨガなどが効果的。

  • ストレス管理:リラクゼーション法やマインドフルネスを取り入れる。

2. 薬物療法

  • ドーパミン作動薬:プラミペキソールやロピニロールが効果的とされています。これらは軽度から中等度の症状に適しています。

  • 抗けいれん薬:ガバペンチンやプレガバリンは、痛みや睡眠障害が強い患者に有効です。

  • 鉄補充療法:血清フェリチン値が50 μg/L以下の場合、鉄剤の投与が推奨されます。

  • オピオイド:重症例や他の治療法が効果を示さない場合に使用されます。

3. 非薬物療法

  • 温浴や冷湿布など、物理的な方法で症状を和らげることができます。

  • マッサージやリフレクソロジーも症状緩和に役立つ場合があります。


むずむず脚症候群の予後

むずむず脚症候群は慢性的な疾患であり、完全に治癒することは難しい場合があります。ただし、適切な治療を行うことで症状を効果的にコントロールし、生活の質を向上させることが可能です。特に、早期の診断と治療が重要です。また、ライフスタイルの改善が長期的な管理に寄与するため、医師や専門家と連携して適切なケアを行うことが推奨されます。


注意事項

むずむず脚症候群と思われる症状がある場合は、専門医に相談することが大切です。特に、自己判断で薬を使用することは避け、医師の指導の下で治療を受けるようにしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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