市販薬のオーバードース問題と新たな規制について — 2026年5月から8成分が『指定乱用防止医薬品』に
近年、若年層を中心に市販薬のオーバードース(過量服薬)が深刻な社会問題となっています。体調管理のために利用されるはずの薬が、「つらさを紛らわせたい」「気分を変えたい」といった心理的な理由から、本来の服用量を超えて摂取されてしまうケースが増加しています。
こうした状況を受け、厚生労働省は2026年5月より、2つの成分を新たに規制対象に追加し、合計8成分を含む市販薬が「指定乱用防止医薬品」に分類される予定です。これにより、薬局での販売方法がこれまで以上に厳格化されます。
なぜ市販薬が乱用されるのか
市販薬は「医師の処方が不要」で「手軽に買える」ことが大きな利点です。しかしその反面、
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安全だと思い込みやすい
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自分で量を調整できると誤解されやすい
といった特性により、過量摂取につながりやすい面があります。
特に今回の規制対象である
「デキストロメトルファン」 と 「ジフェンヒドラミン」 は、どちらも中枢神経系に作用する成分であり、多量摂取により精神的・身体的な影響が出やすいことが知られています。
① デキストロメトルファン(咳止め成分)について
● 主な作用
市販の咳止め・総合感冒薬に含まれる成分で、
咳反射を抑制する鎮咳薬です。
● 過量摂取で起こりうる作用
通常量では安全性が高い一方、過量摂取をすると、
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ぼんやりした感覚、浮遊感
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解離感(自分が自分でないような感覚)
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幻覚・感覚の変容
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判断力の低下
などが生じることがあります。
これは、脳の興奮性や知覚処理に影響するためであり、「つらい現実感を薄めたい」「気持ちを鈍らせたい」と感じている人にとって、一時的な逃避効果として誤って選ばれてしまうことがあります。
● 長期的なリスク
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依存性
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記憶力や集中力の低下
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情緒の不安定化
精神面・生活面に深刻な影響が生じることがあります。
② ジフェンヒドラミン(抗アレルギー・睡眠改善成分)について
● 主な作用
もともとは抗ヒスタミン薬で、
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かゆみ止め
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眠気を誘発する作用
を利用して、市販の睡眠改善薬としても販売されています。
● 過量摂取で起こりうる作用
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強い眠気
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混乱・言動の不自然さ
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幻覚や妄想
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心拍の乱れ
など、中枢神経抑制作用が強く現れます。
「眠れないから」「不安を抑えたいから」といった理由で量が増えてしまいやすく、結果的に依存的な使用パターンに至ることがあります。
指定乱用防止医薬品に指定されると
薬局での販売は以下のように変わります。
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薬剤師による対面説明が必須
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購入目的の確認
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必要に応じ販売数量の制限
これは、「使ってはいけない」という意味ではなく、適切な理解と使用を支えるための措置です。
背景にある“心のつらさ”に目を向けることが大切
オーバードースは、「意図的な自傷」だけではありません。
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職場や学校のストレス
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孤独感・不安
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眠れない日が続く
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気分が落ち込む
こうした “心の圧迫” が蓄積した結果として生じることが多いのです。
薬に頼らざるを得ない状況は、
本来は専門家に相談すべきサインです。
もし心当たりがある方へ
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「薬の量がつい増えてしまう」
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「やめたいのに不安でやめられない」
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「家族や友人がやめられず困っている」
一人で抱え込まず、専門機関にぜひご相談ください。
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