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仮面うつ病とは??

[2023.05.30]

 

 

 

仮面うつ病(かめんうつびょう)は、身体症状や行動の変化が主に現れるうつ病の一形態であり、精神的な症状が目立たないため、一般的なうつ病と区別が難しい特徴を持っています。

多くの場合、患者自身や周囲の人々が「うつ病である」と気づかず、身体的な疾患として診断・治療されるケースが多いため、見過ごされがちな病気です。

 

 


仮面うつ病の症状

1. 身体的な症状が前面に現れる

仮面うつ病では、精神的な症状よりも以下のような身体的な症状が顕著に現れます。これが「仮面」という名前の由来です。

  • 頭痛: 締めつけられるような頭痛や、片頭痛のような症状がみられることがあります。
  • 胃腸の不調: 胃痛、食欲不振、消化不良、便秘や下痢など。
  • 胸部の違和感: 動悸、胸が締め付けられるような感覚、息苦しさ。
  • 全身の倦怠感: 慢性的な疲労感、エネルギーが全く湧かないといった感覚。
  • 睡眠障害: 寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるなど。

これらの症状が長期間続くにもかかわらず、医療機関で身体的な異常が見つからない場合、仮面うつ病の可能性が考えられます。

2. 精神的な症状が目立たない

一般的なうつ病では、「悲しみ」「無気力」「興味喪失」などの精神的な症状が前面に出ますが、仮面うつ病ではこうした症状が抑えられ、本人も「自分が落ち込んでいる」ことに気づかないことが多いです。

  • 自覚としては「なんとなく元気が出ない」「疲れているだけ」と感じる程度の場合もあります。
  • 表面的には普通に見えるため、周囲からも深刻さが理解されにくいことが特徴です。

3. 行動面の変化

仮面うつ病のもう一つの重要な特徴は、日常生活や人間関係における行動の変化です。

  • 意欲低下: 以前は楽しめていた趣味や仕事への興味が薄れる。
  • イライラしやすくなる: 些細なことで怒りを感じることが増える。
  • 関係性の問題: 家族や友人との関係がぎくしゃくする。
  • アルコールや薬物への依存: 自分の気分を紛らわそうと、不適切な方法に頼ることがあります。

仮面うつ病の原因

仮面うつ病は、通常のうつ病と同じく多因子性の病気です。主に以下の要因が発症に関与していると考えられています。

1. ストレス

  • 長期にわたる職場や家庭でのストレス。
  • 過労や責任の重圧。
  • 人間関係のトラブル。
  • 災害や失業といった重大なライフイベント。

2. 性格的な特徴

仮面うつ病は特定の性格傾向を持つ人に発症しやすいと言われています。

  • 真面目で几帳面: 完璧主義的な傾向があり、責任感が強い人。
  • 感情表現が苦手: ストレスや悲しみを自分の中に押し込める傾向がある人。
  • 他人に頼らない性格: 「自分でなんとかしなければ」という意識が強い人。

3. 身体的な要因

慢性的な身体疾患や不調がきっかけで、仮面うつ病を発症する場合もあります。

  • 糖尿病や高血圧といった生活習慣病。
  • 慢性の痛みや不眠症。

診断と治療方法

仮面うつ病の診断は難しいことが多く、身体症状が中心のため、内科や外科で長期間治療を受けても改善が見られない場合があります。そのため、専門的な診断と治療が不可欠です。

1. 診断

  • 精神科や心療内科での問診が重要です。
  • 他の身体疾患を除外するための検査が行われることもあります。
  • 日常生活やストレスレベル、性格傾向を詳しく聞かれることがあります。

2. 治療

治療は、精神的および身体的なアプローチを組み合わせて行います。

  1. 薬物療法

    • 抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)や抗不安薬を使用して、脳内の神経伝達物質のバランスを整えます。
    • 必要に応じて睡眠導入剤や鎮痛剤を補助的に使用することもあります。
  2. 心理療法

    • 認知行動療法(CBT): ストレスや不安の原因となる考え方の癖を修正します。
    • カウンセリング: 自分の感情を整理し、表現する方法を学びます。
  3. 生活改善

    • 規則正しい生活習慣を維持することが重要です。十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動が推奨されます。
    • ストレスの原因を特定し、可能な範囲で排除または軽減する努力が必要です。
  4. 社会的支援

    • 家族や友人など、周囲の理解とサポートが回復に大きな役割を果たします。
    • 必要に応じて、職場環境の調整や休職も検討します。

仮面うつ病のリスクと予防

放置した場合のリスク

仮面うつ病を放置すると、症状が悪化し、以下のようなリスクが高まります。

  • 通常のうつ病や重度の精神障害へ移行。
  • 自殺リスクの増加。
  • アルコールや薬物依存の深刻化。

予防策

  • ストレスをため込まないための工夫:趣味や適度な休息を取る。
  • 自分の感情に気づき、適切に表現することを学ぶ。
  • 定期的に専門家に相談し、心身の健康状態を確認する。

最後に

仮面うつ病は、一般的なうつ病と比べて診断が難しい病気ですが、適切な治療を受けることで回復が十分に可能です。

症状に悩んでいる場合や、自分や周囲の人が該当する可能性がある場合は、早めに精神科や心療内科で相談することをおすすめします。

周囲の人が症状に気づき、サポートすることも回復への重要な一歩となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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