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【眠れない】不眠症・睡眠障害について【心療内科・精神科】

[2025.03.13]

 

毎晩なかなか寝つくことができずに、悶々とした時間を過ごしている。

今日も眠ることができないのでは、と夜が来るのが不安。

そんな悩みを抱えていませんか?

 

不眠症・睡眠障害は眠気や集中力の低下など様々な体調不良の原因になります。

放置すると症状が進行し、思わぬ疾患の原因になってしまうことも。

 

不眠症・睡眠障害は生活習慣の見直しと適切な治療により改善することのできる疾患です。

この記事では不眠症・睡眠障害の原因や症状のタイプ、対処方法について詳しく解説します。

 

 

 


目次

 

不眠症・睡眠障害とは

・日本人の10人に1人は不眠症

・どこからが不眠症?何時間眠れたら大丈夫?

不眠・睡眠障害の原因

・まずは生活習慣をチェックしましょう

・不眠自体がストレスになっていることも

・薬やタバコ、お酒にも注意が必要

不眠症のタイプと症状

・不眠症の4つのタイプ

・眠れないのは全て不眠症?不眠症以外の不眠にも注意が必要

生活習慣の改善による不眠症・睡眠障害の治療

・起きる時間を一定にして、太陽の光を浴びましょう

・寝る時間にこだわりすぎない

・スマホ、タブレット、パソコンには手を出さない

不眠症・睡眠障害の薬物治療

・適切な治療を受けて、不眠症を改善しましょう

・ベンゾジアゼピン系

・非ベンゾジアゼピン系

・メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬

 

 


 

 

不眠症・睡眠障害とは

日本では一般成人の3-5人に1人が何らかの不眠を自覚しているとされています。

確かに不安なことがある時や生活のサイクルが乱れた時など、うまく眠れないこともあるのではないでしょうか。

では、どの程度の不眠が不眠症・睡眠障害と診断されるのでしょうか?

 

日本人の10人に1人は不眠症

睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)によると、次の項目を満たす場合に不眠症と診断されます。

・主観的、客観的に不眠である

・不眠と関連した日中の機能障害がある

・睡眠に適切な環境を整えても不眠である

・週3回以上ある

・3ヶ月以上続く

・他の睡眠障害によらない

 

大まかにまとめると「ちゃんと寝ようとしても眠ることができず、眠気など日中に症状が出ている状況が続いてしまう。そして他のはっきりした疾患が見つからない」状態が不眠症であると言えます。

日本人の10人に1人はこの基準に当てはまり、不眠症・睡眠障害であると診断されます。

 

どこからが不眠症?何時間眠れたら大丈夫?

日本人の3-5人が何らかの不眠を自覚している一方で、実際に不眠症と診断されるのは10人に1人。

不眠だと思っている方全てが不眠症というわけではありません。

 

そもそも、適切な睡眠時間には個人差があります。

また、必要な睡眠時間は年齢によって変化するものです。

 

例えば「7時間眠れたら大丈夫」というものではなく、睡眠時間が短くとも日中に症状が残っていなければそれは不眠症ではありません。

若い頃は8時間眠っていた方が、年齢を経て睡眠時間が6時間に減ったとしてもそれが適切である可能性もあるのです。

むしろ「~時間は寝なければ大変」といった思い込みがあるとそれがかえってプレッシャーとなり不眠の原因になってしまうため、睡眠時間にこだわる必要はありません。

 

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不眠症・睡眠障害の原因

不眠症・睡眠障害の原因が一つであることは少なく、多くの場合様々な原因が組み合わさっています。

次に挙げる項目に当てはまるものがないか、確認してみましょう。

 

まずは生活習慣をチェックしましょう

不眠症・睡眠障害につながる生活習慣として、次のようなものがあります。

・長時間の昼寝

・運動不足

・寝る前のカフェイン摂取

・寝る直前の熱いお風呂、スマートフォン、ゲームなど

 

昼寝は15分程度の短時間であれば日中の集中力を上げる効果がありますが、30分を超えてしまうと夜の寝つきが悪くなる可能性があります。

運動による適度な疲れは眠気を誘発してくれますが、多くの方が不足しがちです。

カフェインや熱いお風呂、スマートフォンなどの電子機器は意識を覚醒させてしまうため、不眠・睡眠障害につながる可能性があります。

 

不眠自体がストレスになっていることも

不眠が慢性化すると、不眠に対する恐怖感が形成されていきます。

今夜は寝つけるだろうか、一晩眠れないのではないか、など不安を感じることでストレスになってしまいます。

 

眠ることにこだわりすぎず、眠くならなければ床を離れてリラックスできることをする、など心の余裕が必要です。

 

薬やタバコ、お酒にも注意が必要

一部の薬(ステロイド、免疫抑制薬、血圧の薬、パーキンソン病の薬など)は、副作用として不眠を引き起こすことがあります。

心当たりがある方は飲み始めた時期と症状の関係など、見直してみても良いかもしれません。

 

嗜好品であるタバコやお酒には意識を覚醒させる効果があるため、不眠の原因となります。

特に寝酒は一見寝付きを良くする効果があるため好んでいる方も多いのですが、途中で目が覚めてしまうタイプの不眠になりやすく、逆効果です。

 

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不眠症のタイプと症状

一言に不眠症と言っても、様々なタイプがあります。

また不眠症と思っていたら他の疾患が隠れていた、というケースも少なくありません。

不眠のバリエーションについて紹介します。

 

不眠症の4つのタイプ

不眠症と診断される方でも、症状はそれぞれ異なります。

不眠症のタイプは大きく次の4つに分類することができます。

・入眠障害:なかなか寝つけない

・中途覚醒:途中で目が覚めて眠れない

・早朝覚醒:早朝に目が覚めてしまう

・熟眠障害:熟眠感が得られない

 

飲み薬で不眠症を治療する場合、薬の選択には症状がどのタイプなのか見極めることが重要となります。

不眠でお悩みの方は、自分の症状のタイプを把握しておくと良いでしょう。

 

眠れないのは全て不眠症?不眠症以外の不眠にも注意が必要

不眠症と診断される項目の中に「他の睡眠障害によらない」という記載がありました。

眠れない方全てが不眠症ではなく、他の疾患が隠れていて眠れない場合があります。

不眠を引き起こす疾患には次のようなものがあります。

・閉塞性睡眠時無呼吸症候群

肥満などが原因で起こる、睡眠中の呼吸障害です。

いびきが大きくなり、一時的に無呼吸となります。

そのため睡眠が分断され、日中の強い眠気を引き起こします。

放置すると将来的な動脈硬化や脳・心臓疾患の原因となるため、専門的な治療が必要です。

・レストレスレッグス症候群

「むずむず脚症候群」とも呼ばれる疾患で、夜間足がムズムズする、虫が這っているといった感覚があるためなかなか眠りにつくことができません。

貧血や慢性腎不全などが原因になることがあるため、検査と治療を受ける必要があります。

・様々な精神疾患

うつ病や不安障害、統合失調症など精神疾患による不眠の治療は簡単ではありません。

専門医による診断と治療を受ける必要があります。

 

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生活習慣の改善による不眠症・睡眠障害の治療

不眠症治療の第一歩は生活習慣を改善し、不眠の原因をできる限り取り除くことです。

 

起きる時間を一定にして、太陽の光を浴びましょう

週末の夜更かしや夜遊び、休日に遅くまで寝ているといった生活習慣は生活リズムを乱してしまいます。

本来私たちの体には体内時計があり、時間が来ると眠くなる性質があります。

平日も休日も一定の時間に起きて太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜間寝つきやすくすることができます。

 

寝る時間にこだわりすぎない

不眠に悩む方は日々不安な気持ちに追われ、眠らなければという強い思いとともに、眠くないのに床についているケースが少なくありません。

既に不眠の状態である場合、床につく時間が早すぎたり床にいる時間が長すぎたりすると、不安やストレスを助長してしまい不眠対策としては逆効果になってしまいます。

 

むしろ今眠れている時間を基準に睡眠時間を制限する、起床時間を一定にしてすみやかに太陽光にあたる、日中は眠くなっても昼寝はしないといった対処をすることで、入眠しやすくすることができます。

少しずつ睡眠時間が長くとれるようになれば、床にいる時間も少しずつ長くするようにしていきます。

 

スマホ、タブレット、パソコンには手を出さない

デジタル機器が発するブルーライトは、紫外線の次に波長の短い光で、眼の奥まで届くエネルギーの強い光です。

そのため夜になっても画面を見続けると意識が覚醒してしまい、睡眠に入りづらくなります。

 

特にスマホはトイレでもどこへでも持っていて見てしまいがち。

興味のある画像や刺激になる動画から距離を置き、不眠の改善につなげたいものです。

 

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不眠症・睡眠障害の薬物治療

不眠症の治療ではまず生活習慣を改善し、睡眠をとりやすい状態にした上で、あとひと押しのために薬物治療を行います。

睡眠薬を適切に使用することで不眠を改善し、日中も充実した時間を過ごすことができるようになります。

 

適切な治療を受けて、不眠症を改善しましょう

睡眠薬の治療と聞くと、その効果や安全性に疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。

確かに以前の睡眠薬の一部には依存性があり、効き目が徐々に弱くなり使用量がどんどん多くなるなど、悪循環になりやすいものがありました。

しかし近年使用されているお薬は安全性が向上しており、新たな作用機序により高い効果を発揮するものが出てきています。

 

今や日本人の20人に1人は睡眠薬を使用していると言われます。

むやみに怖がる必要はありませんので、適切な治療を受けて不眠を改善しましょう。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

従来から広く不眠症の治療に用いられてきたのが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。

体の鎮静を促すGABA受容体という部分に作用することで、眠りにつく強い効果をもたらします。

 

不眠症の方は眠れないことに対する不安が強いのですが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は不安を和らげる作用や、筋肉の緊張を取り除く作用(筋弛緩作用)もあるため有効に作用することがあります。

一方で高齢の方などに使用する場合は、筋弛緩作用により転倒のリスクが上がることや、薬を多用することで認知機能の低下をもたらす可能性があることなど、漫然とした使用には注意が必要です。

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じくGABA受容体に作用することで体を眠りに誘う力を持っています。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較すると依存性が低く、筋弛緩作用や不安を和らげる作用が弱いとされており、副作用が少ないと考えられています。

副作用がマイルドである分だけ、睡眠を誘発・維持する効果もマイルドであるとされており、頑固な不眠の改善は難しいケースがあります。

 

メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬

メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬は2010年以降発売されるようになった新しいお薬です。

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは異なる機序で作用します。

 

メラトニンは脳から分泌されるホルモンで、体内のリズムを調整する機能を持っています。

メラトニン受容体作動薬はメラトニンのように作用することで、体内時計を調節し睡眠を誘発することができます。

主に入眠障害に作用を発揮しやすいとされています。

 

オレキシンは体の覚醒を促す物質です。

オレキシン受容体拮抗薬はオレキシンが働きづらいように作用することで、睡眠を誘発します。

入眠よりも睡眠の維持に効果的と考えられています。

 

メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬は自然に近い形で入眠や睡眠を誘発するため、安全性が高いと評価されています。

 

メンタルクリニックでは単に薬の処方をするだけではなく、他の疾患が隠れていないかどうか、不眠・睡眠障害がどのようなタイプなのか、生活習慣に解決の糸口がないか、など総合的に治療を行っていきます。

これまでに自身でうまく解決できていない方も、専門医の診察を受けることで症状が改善に向かう可能性があります。

 

 

不眠症・睡眠障害の症状にお悩みの方はぜひご相談ください。

 

 

 

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参考資料

・「不眠症」厚生労働省ホームページe-ヘルスネット

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

・「不眠、睡眠覚醒リズム障害」薬局73(4), 2022

・「不眠症の診断と治療」臨床と研究99(9), 2022

・「作用時間から不眠の4つのタイプを整理する」薬局74(2), 2023

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記載:おりたメンタルクリニック医師

 


 

 

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