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大人の発達障害について

[2023.07.25]

 

 

大人の発達障害とは?

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによって、認知、行動、対人関係、生活スキルにおいて特性が現れる障害です。

幼少期に診断されることが多いものの、大人になって初めて気づくケースも増えています。

現代社会では、個人の生き方や働き方が多様化したことで、大人の発達障害が社会問題として認知されつつあります。

 

子供の頃は「個性」や「性格の問題」とされていたものが、大人になって社会生活を送る中で、職場や家庭、人間関係での困難として現れ、結果として発達障害と診断されることがあります。

また、大人の発達障害の特性を理解せずに無理を続けることで、うつ病、不安障害、適応障害などの二次障害を引き起こすことも少なくありません。

 


大人の発達障害の主な種類と特徴

大人の発達障害は主に以下の3つに分類されます。それぞれの特性を理解し、生活や仕事での支援や工夫を考えることが重要です。


1. 自閉スペクトラム症(ASD)

概要

自閉スペクトラム症(ASD)は、以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」と区別されていましたが、現在はスペクトラム(連続体)として捉えられ、一つの枠組みで診断されます。ASDの特性はコミュニケーションの困難さこだわりの強さにあります。

特徴

  • コミュニケーションの苦手さ

    • 相手の気持ちや状況を察することが難しい
    • 空気を読むことができず、場違いな発言や行動をしてしまう
    • 抽象的な表現や冗談が理解しづらい
  • 対人関係の難しさ

    • 友人関係や職場の人間関係が築きづらい
    • グループ活動やチームワークに適応できない
  • こだわりや特定の興味

    • 一つの物事に強い興味や執着を示す
    • ルーティンや習慣が崩れると不安やパニックになる
  • 感覚過敏・鈍感

    • 光や音、匂い、触感に過敏でストレスを感じる
    • 逆に痛みや寒さなどに鈍感な場合もある

大人の生活への影響

  • 職場で「協調性がない」と誤解されやすい
  • マルチタスクが苦手で、指示を柔軟に理解するのが難しい
  • 特定の分野では優れた能力を発揮するが、他の作業には適応しづらい
  • 感覚過敏が原因で職場環境や人混みがストレスになる

支援と対処法

  • 職場では明確な指示や役割分担を徹底する
  • 自分の強みを活かせる仕事や環境を選ぶ
  • 感覚過敏を軽減するため、イヤホンやサングラスを活用する

2. 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

概要

ADHDは、「注意欠陥」「多動性・衝動性」の2つの要素が主な特性となります。大人になると「多動性」は目立たなくなることが多いですが、「不注意」や「衝動性」は社会生活や仕事で困難をもたらすことがあります。

特徴

  • 不注意

    • 物事を忘れやすい、物をなくしやすい
    • 集中力が続かず、タスクが中途半端になる
    • 優先順位がつけられず、締め切りに間に合わない
  • 多動性

    • 落ち着きがなく、じっと座っていられない
    • 頭の中が常に忙しく、他のことに意識が移りやすい
  • 衝動性

    • 衝動的に発言・行動してしまい、トラブルになる
    • 計画性がなく、目の前の欲求を優先してしまう

大人の生活への影響

  • 職場でミスが多く、「だらしない」と誤解される
  • 計画的に仕事や家事を進めることが難しい
  • 衝動的な行動で人間関係やお金の管理に問題が生じる

支援と対処法

  • タスク管理ツールやメモを活用して物事を整理する
  • 環境を整える(静かな場所で仕事をするなど)
  • 専門医による薬物療法や行動療法も効果的

3. 学習障害(LD)

概要

学習障害(LD)は、知的能力には遅れがないものの、「読む」「書く」「計算する」などの特定の分野に困難を抱える障害です。

特徴

  • 読字障害(ディスレクシア):文字を正確に読むことが難しい
  • 書字障害:文字を書く、文章を構成するのが苦手
  • 算数障害:計算や数式を理解するのが困難

大人の生活への影響

  • 仕事で書類作成や数字の処理に苦労する
  • 指示を正確に理解するのが難しく、ミスが増える
  • 能力や知識があるのに、発揮しきれない悔しさを感じる

大人の発達障害が診断される背景

大人になって発達障害が見つかる背景には、以下の要因があります:

  • 子供の頃に気づかれなかった
    学校では「個性」や「性格」とされ、見過ごされたケース。
  • 社会生活で困難が顕在化
    大人になると仕事や家庭の責任が増し、特性が目立ちやすくなる。
  • ストレスやうつ病の診断過程で発覚
    生きづらさから二次障害に悩み、発達障害の検査を受けるケース。

二次障害について

発達障害に気づかず適切なサポートが得られないと、以下の二次障害が現れることがあります:

  • うつ病、不安障害
  • 適応障害
  • 自尊心の低下
  • 対人恐怖症や引きこもり

まとめ:支援の重要性

大人の発達障害は、早期に特性を理解し、自分に合った環境や支援を見つけることが重要です。本人だけでなく、家族や職場の理解とサポートが、日々の困難を軽減し、社会生活の質を向上させる鍵となります。

支援機関や専門医療機関の活用、認知行動療法、生活スキルの訓練など、自分に合った対処法を見つけることで、強みを活かしながら前向きな生活を送ることが可能です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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